目次
- イントロダクション
- SP-404(SX) – インターフェイスの説明
- SP-404SXの心臓部!エフェクト徹底解析
- Filter Drive
- VOICE TRANS
- DELAY
- ISOLATOR
- DJFX LOOPER
- 【MFX1】REVERB
- 【MFX2】TAPE ECHO
- 【MFX3】CHORUS
- 【MFX4】FLANGER
- 【MFX5】PHASER
- 【MFX6】TREMOLO/PAN
- 【MFX7】DISTORTION
- 【MFX8】OVERDRIVE
- 【MFX9】FUZZ
- 【MFX10】WAH
- 【MFX11】OCTAVE
- 【MFX12】COMP
- 【MFX13】EQUALIZER
- 【MFX14】BIT CRASH
- 【MFX15】NOISE GEN
- 【MFX16】VINYL SIM
- 【MFX17】RADIO TUNING
- 【MFX18】SLICER+FLG
- 【MFX19】RING MOD
- 【MFX20】CHROMATIC PS
- 【MFX21】PITCH
- 【MFX22】C.CANCELER
- 【MFX23】SUBSONIC
- 【MFX24】BPM LOOPER
- まとめ
イントロダクション
日本の大手電子楽器メーカーRolandから2005年に発表されたサンプラー「SP-404」、2009年に発表された後継機「SP-404SX」はSDカードによる大容量化と高音質化が遂げられました。本稿ではSP-404SXのインターフェイスとエフェクト機能について詳しく解説していきます。
SP-404SXは海外で強い人気のあるサンプラー。徐々に日本でもキテますね!英語での紹介になってしまうことが多いのですが、Youtube 自動翻訳機能を利用して理解を深めていきましょう。
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SP-404(SX) – インターフェイスの説明
まずインターフェイスの解説です。ツマミやパッド、入出力について理解しましょう。インターフェイスについての動画は辞書のような存在
本体後方 | |
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DC IN | アダプター電源 |
MIDI端子 | 他のハードウェアと同期させて拡張。 |
LINE IN 【RCA端子】 | スマートフォンなどから音源を取り込む、またはDJミキサーから接続。 |
LINE OUT 【RCA端子】 | スピーカーへ接続して音を鳴らします。 |
本体前方 | |
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イヤホンジャック 【PHONE端子】 | 音が出せない環境の方はここからヘッドフォンで。 |
SDカードスロット | 32GBまで対応(フォーマット必要) |
MIC LEVEL | 「MIC IN」と「内蔵マイク」の録音感度を調整します。 |
MIC IN 【PHONE端子】 | ダイナミックマイクから直接録音できます。 |
本体上部(ツマミ) | |
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VOLUME | 全体ボリューム調節 |
CTRL1 【CUTOFF】 [START/TIME] | [エフェクト調節1] タイムストレッチや深さ、周波数などの調整。 |
CTRL2 【RESONANCE】 [END/BPM] | [エフェクト調節2] 共振具合、響きなどかけ具合の回数の調整。 |
CTRL3/MFX 【DRIVE】 [LEVEL] | [エフェクト調節3] バランスを整えたり、エフェクトの音量の調節。)MFXエフェクトへのアクセス。 |
SP-404SXの心臓部!エフェクト徹底解析
SP-404SXの魅力の一つに強力で多彩なエフェクト機能があります。「自分が出したい質感」を3つのツマミで直感的に調節することで些細に渡って作り上げることができるのです。この章では計29個のエフェクト内容・用途について徹底解析。
「Rolandの説明書に記載しているエフェクト方法(表上部)」と「現代のビートメイカーたちのエフェクト方法(表下部の動画)」の違いにも注目したいです。
用途は決して一つではなく、時代とともに変化し、いろいろな使用方法がプレイヤーによって編み出されているのです。これが名機であり、定番機でもある宿命!
まずはMFX24までをざっくりと紹介したビデオをどうぞ!
Filter Drive
高域をカットして歪みを加える。キックドラムをよりパンチを効かせることができる。 | |
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CTRL1 | CUT OFF(CoF) カットする周波数を調節。 |
CTRL2 | RESONANCE(rES) カットオフ周波数における種数特性のピーク量を調節。 |
CTRL3 | DRIVE(drU) 歪みを付加 |
VOICE TRANS
人間の声のピッチを変える。外部入力のマイクを繋げてリアルタイムで声を触っていくができる。 | |
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CTRL1 | FORMANT(Ftn) 声の特徴(フォルマント)を調節。 |
CTRL2 | EFFECT LEVEL(EFF) エフェクト音の音量を調節。 |
CTRL3 | DIRECT LEVEL(dir) ダイレクト音の音量を調節。 |
DELAY
音を繰り返す定番のディレイ。DJ で曲と曲を繋ぐ時に重宝。 | |
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CTRL1 | DELAY TIME(t32-t1) 繰り返す時間の調節。 |
CTRL2 | FEEDBACK(Fdb) 繰り返す回数を調節。 |
CTRL3 | BLANCE(bAL) ダイレクト音とエフェクト音の音量バランスを調節。 |
ISOLATOR
低/中/高音域の音の抽出や削除。サンプリング音源の不必要な音域箇所を削除できる。また4つ打ち系のライブパフォーマンスでも必要不可欠。 | |
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CTRL1 | LOW(Lo) 低音域を抽出/削除。 |
CTRL2 | MID(nid) 中音域を抽出/削除。 |
CTRL3 | HIGH(Hi) 高音域を抽出/削除。 |
DJFX LOOPER
入力音を短い周期でループさせる。ターンテーブルを操作するように音の逆回転も可能。音源を破壊して再生させることが人気エフェクトの一つ。 | |
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CTRL1 | LENGTH(LEn) ループの長さを設定 |
CTRL2 | SPEED(-1.0〜+1.0) 再生方向と再生スピードを調節。12時より左に回すと逆再生。右に回すと正方向に再生。12時で再生停止。 |
CTRL3 | LOOP SW(oFF/on) 音が鳴っている時にオンにすると、その時点の音をループ。オフにするとループ解除 |
【MFX1】REVERB
音に残響を加える。単音一つでも深海まで入り込む深みのあるリバーブ。音色が壊れないから安心して深いところまでかけることができる | |
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CTRL1 | REVERB TIME(tin) 残響時間の調節。 |
CTRL2 | TONE(ton) 残響音の音質を調節。 |
CTRL3 | BALANCE(bAL) ダイレクト音とエフェクト音の音量バランスを調節。 |
【MFX2】TAPE ECHO
往年のテープ式エコー効果。周期を縮めていってスペーシーな音にもできる。 | |
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CTRL1 | RATE(rAt) テープスピードを設定。 |
CTRL2 | INTENSITY(int) エコー音の繰り返し量を設定。 |
CTRL3 | BALANCE(bAL) ダイレクト音とエフェクト音の音量バランスを調節。 |
【MFX3】CHORUS
揺れの深さ、揺れの周期などを調整し、音に広がりや厚みをつける。 | |
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CTRL1 | DEPTH(dPt) 音の揺れの深さを調節。 |
CTRL2 | RATE(tAt) 揺れの周期を調節。 |
CTRL3 | BALANCE(bAL) ダイレクト音とエフェクト音の音量バランスを調節。 |
【MFX4】FLANGER
ジェット機の上昇音/下降音のようなうねりをつける。倍音の多い音に対して効果が顕著。 | |
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CTRL1 | DEPTH(dPt) ウネリの深さを調節。 |
CTRL2 | RATE(tAt) ウネリの速さを調節。 |
CTRL3 | FEEDBACK(Fdb) エフェクト音を入力に戻す割合を調節。 |
【MFX5】PHASER
位相をずらした音を加えてうねりをつける。フランジャーよりおとなしめで粘り気がある。 | |
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CTRL1 | DEPTH(dPt) ウネリの深さを調節。 |
CTRL2 | RATE(tAt) ウネリの速さを調節。 |
CTRL3 | MANUAL(Nan) 効果音の音の高さを調節。 |
【MFX6】TREMOLO/PAN
周期的に音量または定位(パン)を変化させます。 | |
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CTRL1 | DEPTH(dPt) 音量/定位の変化量を調節。 |
CTRL2 | RATE(rAt) 音量/定位変化の速さを調節。 |
CTRL3 | WAVEFORM(trN/PAn) 音量/定位変化の周期カーブを変更。左に回すと音量変化、右に回すと定位変化。 |
【MFX7】DISTORTION
音を激しく歪ませます。オーバードライブよりもさらに激しく歪んだ音が特徴。繊細な音には不向き。 | |
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CTRL1 | DRIVE(drU) 歪み具合を調節。 |
CTRL2 | TONE(ton) 音質を調節。 |
CTRL3 | LEVEL(LEU) 音量を調節。 |
【MFX8】OVERDRIVE
音をマイルドに歪ませます。 | |
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CTRL1 | DRIVE(drU) 歪み具合を調節。 |
CTRL2 | TONE(ton) 音質を調節。 |
CTRL3 | LEVEL(LEU) 音量を調節。 |
【MFX9】FUZZ
音に倍音を加えて激しく歪ませます。 | |
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CTRL1 | DRIVE(drU) 歪み具合を調節。 |
CTRL2 | TONE(ton) 音質を調節。 |
CTRL3 | LEVEL(LEU) 音量を調節。 |
【MFX10】WAH
ワウ効果が得られます。 | |
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CTRL1 | PEAK(PEt) 効果のかかる周波数の幅を調節。 |
CTRL2 | RATE(rAt) 揺れの速さを調節。 |
CTRL3 | MANUAL(NAn) 効果音の音の高さを調節。 |
【MFX11】OCTAVE
オクターブ下の音を加えます。 | |
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CTRL1 | -2OCT LEVEL(oC2) 2オクターブ下の音を付加。 |
CTRL2 | -1OCT LEVEL(oC1) 1オクターブ下の音を付加。 |
CTRL3 | DIRECT LEVEL(dir) ダイレクト音の音量を調節。 |
【MFX12】COMP
音の粒立ちをそろえます。 | |
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CTRL1 | SUSTAIN(SUS) コンプレッサーのかかり具合を調節。 |
CTRL2 | ATTACK(Att/rEL) 音のアタック感を調節。リミット・モード・オン時(rEL)はリリース感を調節。 |
CTRL3 | LEVEL(LEU) 音量を調節。 |
【MFX13】EQUALIZER
音域ごとの音量を調整します。 | |
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CTRL1 | LOW(Lo) 低域の音量を調節。 |
CTRL2 | MID(Nid) 中域の音量を調節。 |
CTRL3 | HIGH(Hi) 高域の音量を調節。 |
【MFX14】BIT CRASH
ビット(音の解像度)をクラッシュ(破壊)してローファイ・サウンドを作ります。音の解像度を自分で変更できるエフェクト。 | |
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CTRL1 | SAMPLE RATE(rAt) サンプリング周波数を調節。 |
CTRL2 | BIT(bit) ビット数を調整。 |
CTRL3 | FILTER(FLt) フィルターの効き具合を調 |
【MFX15】NOISE GEN
ローファイ効果に加えて、ホワイト・ノイズ、レコード・ノイズなどのノイズを作り出します。 | |
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CTRL1 | WHITE NOISE(UHt) 「サー」というノイズの音量を調節。 |
CTRL2 | DISC NOISE(diS) 「プチッ」というノイズの音量を調節。 |
CTRL3 | HUM NOISE(HUN) 「ブーン」というノイズの音量を調節 |
【MFX16】VINYL SIM
アナログ・レコード盤で鳴らしているような音を再現します。 | |
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CTRL1 | FREQUENCY RANGE(rnG) 再生システムの周波数特性を調節。 |
CTRL2 | NOISE LEVEL(noS) ノイズの音量を調節。 |
CTRL3 | WOW / FLUTTER(FLU) アナログ盤の回転ムラを調節。 |
【MFX17】RADIO TUNING
ラジオから聞こえるような音を再現します。 | |
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CTRL1 | DETUNE(tUn) ラジオのチューニングのずれ具合を調節。 |
CTRL2 | NOISE LEVEL(noS) ノイズの音量を調節。 |
CTRL3 | BALANCE(bAL) ダイレクト音とエフェクト音の音量バランスを調節。 |
【MFX18】SLICER+FLG
音を連続的にカットします。フランジャー付きです。 | |
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CTRL1 | TIMING PTN(P01〜P16) 音をカットするタイミング。 |
CTRL2 | RATE(t32〜t1) TIMING PTN の長さを調節。 |
CTRL3 | FEEDBACK(Fdb) フランジャーの効き具合を調節。 |
【MFX19】RING MOD
金属的な音質に変化させます。 | |
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CTRL1 | FREQUENCY(Frq) 金属音の音の高さを調節。 |
CTRL2 | SENS(SEn) 周波数の変調のかかり具合を調節。 |
CTRL3 | BALANCE(bAL) ダイレクト音とエフェクト音の音 量バランスを調節。 |
【MFX20】CHROMATIC PS
ピッチを半音単位で変える、2ボイスのピッチ・シフターです。 | |
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CTRL1 | PITCH1(- C〜 CC) ピッチ 1 を ±1 オクターブの範囲で半音単位で変化。 |
CTRL2 | PITCH2(- C〜 CC) ピッチ2を ±1 オクターブの範囲で半音単位で変化。 |
CTRL3 | BALANCE(bAL) ダイレクト音とエフェクト音の音量バランスを調節。 |
【MFX21】PITCH
ピッチを変えます。 | |
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CTRL1 | PITCH(Pit) ピッチの変化量を調節。 |
CTRL2 | FEEDBACK(Fdb) ピッチ・シフト音の繰り返し量を調節。 |
CTRL3 | BALANCE(bAL) ダイレクト音とエフェクト音の音量バランスを調節。 |
ピッチシフトがとても弱いSP404シリーズ。本格的にサンプル音の音程を変えてビートメイキングをするなら、隠れ名機ZoomのST-224がオススメ。
【MFX22】C.CANCELER
ボーカルなど、中央に定位している音を消します | |
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CTRL1 | L-R BALANCE(L-r) 一番よく消えるポイントの調整。 |
CTRL2 | LOW BOOST(Lo) ベースなど、中央定位で低域の音を増強。 |
CTRL3 | HIGH BOOST(Hi) 高域の音を増強。 |
【MFX23】SUBSONIC
サンプルに低音のサイン波を加えるエフェクト。キックの低域を足したりできる。 | |
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CTRL1 | PITCH(Pit) サイン波の周波数を調節。 |
CTRL2 | THRESHOLD(tHr) サイン波が鳴り始める音量レベルを調節。 |
CTRL3 | BALANCE(bAL) ダイレクト音とエフェクト音の音量バランスを調節。 |
【MFX24】BPM LOOPER
入力音を短い周期でループさせます。 | |
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CTRL1 | LENGTH(LEn) ループの長さを設定。 |
CTRL2 | TIMING(oFF、1〜8) 小節中で、ループさせた音が自動的に鳴り始めるタイミング(8分音符単位)を設定。ループを自動的に鳴らしたくない場合は「oFF」 |
CTRL3 | LOOP SW(oFF/on) 音が鳴っているときにオンにすると、その時点の音をループ。オフで、ループ解除。 |
まとめ
如何でしたでしょうか?エフェクトは専門用語が多くて覚えるのが大変です。元素材によってエフェクトのかかり具合も様々ですし、調合の割合によっても音の輪郭も変わってくるので、言葉で定義すること自体が野暮かもしれません。
しかし、業界共通の言語でもあります。特にバッググランドが違うミュージシャンたちと一緒に制作するときは知っておいて損はないでしょう。”単語”と”音質のイメージ”を一致させておくことで、「自分が出したい質感」をすぐに出せることは制作効率が飛躍的に上がります。
最後にロシア人Acid Jazz BandのDub Hope Jointのライブセッション動画をどうぞ。スマホをカオスパッドに代替し、サックス、キーボードの音にエフェクトをかけた粘りのあるセッション!
Happy SP-404SX Life!