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イントロダクション
2021年10月13日16時、Roland YoutubeチャンネルにてSP404MK2が正式に発表されましたね。リークされていた予想以上のスペックが発表され、欧米のSNS上ではかなり盛り上がっていました。
まだ私の手元にないので、はっきりしたことは言えないのですが、正式に発表されているスペックや各Youtuberの映像などから、どこよりも分かりやすく一つずつ解説していきたいと思います。
外観 SP404(SX)との比較
まずはこのサイズ表をご覧ください。
SP404 (SX) | SP404 MK2 | |
幅 (W) | 177.6mm | 177.5mm |
奥行き(D) | 256.7mm | 275.8mm |
高さ(H) | 72.1mm | 70.5mm |
重量 | 1.2kg | 1.1kg |
サイズが大きくなったというリーク情報でしたが、実際に発表されてみるとかなりコンパクトにまとまっています。
奥行きのみ、19.1mm大きくなっています。幅は0.1mm小さくなり、高さも1.6mm小さくなっています。何よりも重量が100gも軽くなったことがとても嬉しいポイント。
既存のガジェットは使えるのか?
SP404から買い替えの方は既存のケースなどが使えるのかどうか気になるところです。
Analog CasesのSP404シリーズでは元々ACアダプターの部分に隙間が確保されていたため、上記写真のようにしっかり収納できるそうです!
ほこりや衝撃を保護するデッキセーバーですが、こちらはおそらくMK2専用のものを待ってから買い替えが必要でしょう。
カスタムスキンやノブはどうか?
SP404シリーズといえば、スキンやノブをカスタムが楽しみの一つ。
スキンはサイズが違うため、SXからの代用はできずにアウト。しかし、ノブは規格が同じのため、引き続き使用することができます。
このカスタムノブがあると、タッチ感が変わり音を触るのがより楽しくなります。
電源、乾電池、USB給電
SP404 (SX) | SP404 MK2 | |
電源 | ACアダプター | ACアダプター |
乾電池 | 4-5時間 (単三電池6本) | 2.5-3.5時間 (単三電池6本) |
USB給電 | 不可 | USB-C端子で 給電可能 |
乾電池(単三電池*6本)での運用も引き続き継続ですが、耐久力が40%ほど減少。
しかし、USB-Cでの給電が可能になりました!どちらかというとモバイルバッテリーでの運用へ切り替えを推奨しているのではないでしょうか?
乾電池6本の重量は約138g。せっかくの100g軽量化が台無しですよね。外出時スマホなどを充電するときに持ち歩くモバイルバッテリーと一緒に使用する方が良いかなと思います。
ちなみにモバイルバッテリーなら安定性とコスパが最強なAnker一択だと思います。
モバイルバッテリーは出力、入力ともに「Type-C」のものを選択して下さい。両端がType-Cです。片方がType=Aの場合だと「Switch to batteries」と表示され、給電することができません。注意して下さい!
接続端子
SP404 (SX) | SP404 MK2 | |
LINE入出力 | RCA端子(赤白ケーブル) | フォン端子 (TRSバランスアウト対応) |
INPUT端子 | MIC (フォン端子) | MIC /Guitar (TRSバランスアウト対応) |
ヘッドホン端子 | フォン端子 (計1基) | フォン端子/ミニジャック端子 (計2基) |
MIDI端子 | INのみ | IN/OUT |
USB端子 | 無し | USB-C端子 (オーディオ、MIDI、給電に対応) |
注目したいところは、出力入力ともにRCA端子(赤白ケーブル)からフォンケーブルになったところ。
こちらはRCA端子からフォノ端子への変換プラグ。中華ブランドよりも老舗HOSAがオススメ!
ヘッドホンがフォン端子とミニジャック端子の2基搭載。2人でモニターをしながらセッションできるのは嬉しいポイント。
MIDI端子もINとOUTがつきました。BPM SYNC、MIDIキーボードを使って演奏も可能へ!
最後に、既出のUSB-C端子は、給電だけでなくノートPCと接続すれば専用アプリとシンクロして操作することも可能。
USB-C 端子の破壊力!(その1)
SP404MK2のUSB-C端子はオーディオも対応しています。
iPhoneやiPadから直接サンプリングできるのです。こちらの動画をご覧ください。
SP404 SX以前では、変換ケーブルを何個も噛ませ苦労していたのですが。。。
これで、YoutubeやApple Music、Spotifyなどから気になった箇所を、ささっとSP404へサンプリングすることもできます!
USB-C 端子の破壊力!(その2)
USB-C端子でPCへ繋ぐとオーディオインターフェイスとして認識されます。家にいるときは常時PCと繋ぎっぱなしにしといて、ネットサーフィン中に気になった箇所をそのままサンプリングしたり、オンラインのビートライブを配信したりと。気持ちが乗った時にすぐに行動に移せますね。
*レイテンシーなどは不明。
*Windows OSではドライバーが必要になる。
音質スペックと保存方法
SP404 (SX) | SP404 MK2 | |
ビット/サンプル | 16bit/44.1kHz | 16bit/48kHz |
保存領域 | SDカード | 内部ストレージ16G + 外部SDカード |
サンプル形式 | WAV / AIFF | WAV / AIFF /MP3 *SP-404MK2APPでは FLAC / M4Aも対応 |
サンプル数 | 120サンプル (12pad*1oBank) | 2560サンプル (16pad*1oBank *16Project) |
1Padあたりの 最大サンプル時間 | 180分 | 最長16分 |
音質は16bit/48kHz!
十分でしょう。ハイレゾ対応にして動作が重たくなるよりはこちらの方が嬉しいですね。
内部ストレージ16GBを完備!
SP404 SXのSDカードの読み込みに少しもたつきがあり、起動時にストレスに感じることもありました。SP404MK2では内部ストレージを採用しています。まるでLocal SSDにアクセスするかのようにスピーディーでしょう。
対応ファイルはMP3も採用!
WAVで所有していない音源ってたくさんあると思います。MP3対応は嬉しい限り。
2560個のサンプル数が保存!
保存できるサンプル数は120から2560へ大幅にアップ!
最長16分へ!
サンプル時間は180分から16分へと大幅に短縮されています。16分もあれば長尺な楽曲を入れるのも十分ではないでしょうか。
グラフィック有機EL採用!新しいMK2の液晶画面
SP404SX時代ではLED出力の数字のみで、まるでMS DOS画面 (!?) を触っているようでした。しかし、SP404MK2では、グラフィック有機ELを採用。
サンプリングした音源をズームして波形編集したり、エフェクト一覧やそのパラメーターなども一目瞭然。このディスプレイで「今、何をしているのか」を可視化できるようになりました。これがSP404がモダンなサンプラーへ変貌を遂げた核心部分でしょう。
SP404 MK2を使ったチョップ方法
実際にチョップしている映像をみてみましょう!液晶画面がかなりわかりやすくサポートしくれていますね。
アコースティックギターをサンプリングしつつそれをピッチダウン。そしてチョップしていく動画です。
グラフィック有機ELがわかりやすいというだけでなく、MPCやMashineのようにひと目で波形を確認し、音に合わせてPadを押すことでサンプルをチョップすることができます。
さらに、そのサンプル音源を遅くしたり、早くしたりしても音が破綻しない!
実はこのサンプルのピッチシフトは度々取り上げられていたSP404(SX)の欠点。今回で完全にカバーされました。
詳しくはこちらの記事をどうぞ!
追加された新しいエフェクトたち。SP303のVinyl SimやCassette Simも!
まずはエフェクトの階層(レイヤー)の概念を理解。
SP404 (SX) | SP404 MK2 | |
エフェクト数 | 29種類 | 37種類 |
同時に使用できる エフェクト数 | 1つ | 5つ Input FXに1系統 個別サンプルに2系統 全体の出力に2系統 |
エフェクトの数は37種類と大幅にアップデート!
SP404MK2では全部で5つのエフェクトを同時にかけることができます。これはどういうことでしょうか?下の図をご覧下さい。
サンプルエフェクト(Bus1とBus2)
各サンプルに個別で2系統のエフェクトをかけることができます。
マスターエフェクト(Bus3、Bus4)
全体の出力に2系統のエフェクトをかけることができます。
マイク入力エフェクト (Input FX)
マイクやギターなどの外部入力に個別にエフェクトをかけることができます。
(Input FXには「Auto Pitch」、「Vocorder」、「Gt Amp Sim」の3つも追加される)
以上、合計5つのエフェクトを同時にかけることができるようになったのです。
SP404SXでは、同時に1つしかかけることができず、リサンプリングを繰り返して音を作っていくしかありませんでした。しかし、SP404MK2では個別Busを通してそれぞれかけることができます。これでかなり作り込んだビートメイキングができます。
こういう風↓にマイク (Input FX) を使いながら遊ぶこともできますね。
こちらの動画はマイクを使ったラップ (Input FX) にエフェクトかけつつ、サンプル(Bus1、2)やビート全体(Bus3、4) にもエフェクトをかけて遊んでいます。マルチエフェクトの参考になります!
また、ラップとDownerエフェクトとの相性がめちゃ良い!次項ではエフェクトについて詳しく解説致します。
MFXエフェクトの全貌。順番に一つずつ紹介!
まずは前面パネルに常用配備されている基本の5つのエフェクト。
ResonatorだけSXには搭載していませんね。Resonatorとは、「共鳴機」を使用して音色を変化させるエフェクト。(SX時代では、この位置にVoice Transエフェクトがありました。)
基本エフェクト | SP404 (SX) | SP404 MK2 |
Filter+Drive | ○ | ○ |
Resonator | × | ○ |
Delay | ○ | ○ |
Isolator | ○ | ○ |
DJFX Looper | ○ | ○ |
こちらの動画で全てのエフェクト効果を確認できます。まるでミックステープのようなエフェクト紹介動画です。
以下順番にSP404SXとSP404MK2を比較して紹介します。
MFX | SP404 (SX) | SP404 MK2 |
Scatter | × | ○ |
Downer | × | ○ |
Ha-Dou | × | ○ |
Ko-Da-Ma | × | ○ |
Zan-Zou | × | ○ |
To-Gu-Ro | × | ○ |
SBF | × | ○ |
Stopper | × | ○ |
Tape Echo | ○ | ○ |
TimeCtrldly | ○ | ○ |
Super Filter | ○ | ○ |
WrmSaturator | × | ○ |
303 Vinyl Sim | × | ○ |
404 Vinylsim | ○ | ○ |
Cassette Sim | × | ○ |
Lo-fi | ○ | ○ |
Reverb | ○ | ○ |
Chorus | ○ | ○ |
JUNO Chorus | × | ○ |
Flanger | ○ | ○ |
Phaser | ○ | ○ |
Wah | ○ | ○ |
Slicer | ○ | ○ |
Tremolo/Pan | ○ | ○ |
Chromatic PS | ○ | ○ |
Hyper-Reso | × | ○ |
Ring Mod | ○ | ○ |
Crusher | ○ | ○ |
Overdrive | ○ | ○ |
Distortion | ○ | ○ |
Equalizer | ○ | ○ |
Compressor | ○ | ○ |
Auto Pitch | × | ○ (Input FXのみ) |
Vocoder | × | ○ (Input FXのみ) |
Gt Amp Sim | × | ○ (Input FXのみ) |
SP303 Vinyl Simの追加が嬉しいですね。このエフェクトのためだけにSP303を購入していた方もいたと思います。
SP404MK2で不採用になったエフェクト
不採用になったのは以下の9つのエフェクト。
Fuzz、Octave、Noise gen、Radio Tuning、Slicer+FLG、C.Canceler、Subsonic、BPM Looper、Voice Trans。
MK2でもリカバーできるエフェクトが多い印象ですが、馴染みのあったエフェクトも多いのではないでしょうか?
特にC.Cancelerで中央をなくし、Subsonicで低域増強しつつBoomyなベースを作っていた方も多いと思います!詳しくはこちらの記事をどうぞ。
しかし、SP404 MK2では今後エフェクトが追加できるかもしれない?
廃止された9つのエフェクトですが、もしかしたら今後使える可能性も噂されています。
ローランド公式ビデオで「37のエフェクトがスタートした (AT LAUNCH)」という言葉から推測するに、今後、エフェクト環境がアップグレードできる可能性があることを示唆しています。
Native InstrumentのKompleteシリーズ (音源素材) のように買い切り型か、もしくはRoland Cloudでエフェクトのサブスクリプション型のような形でリリースされるのでしょうか?
まとめ
如何でしたでしょうか?
今まで使いにくくて、癖のあるサンプラーだったSP404(SX)。今回のMK2のアップデートで一気にモダンなサンプラーへ仲間入りです。
今回、紹介した機能はMPC OneやMaschine MK3などでは当たり前のように実装されていたものばかり。しかし、そこにDJ機能など近年のビートライブ需要を取り込み、既存のエフェクト機能を大幅にアップデートさせて、このコンパクトさを維持したプロダクトへ落とし込んだのは流石です。
名機からモダンなサンプラーへと変貌を遂げたSP404MK2。これからプレイヤーによってどんな新しい遊び方が編み出されていくのか、楽しみですね!
欧米ビートシーンをチェックしつつ、コツや新しい発見などをシェアしていきたいと思います。
*後ほどDJモード、スキップバック機能など大幅に加筆予定。とりあえずここで一旦公開致します!
[付録] 基本スペック表
最大同時発音数 | 32音 |
記憶可能データ | サンプル=2,560(16サンプル×10バンク×16プロジェクト:内蔵ストレージへ保存), パターン=2,560(16サンプル×10バンク×16プロジェクト:内蔵ストレージへ保存) |
内蔵ストレージ | 容量: 16 GB プリロードデータを含む |
最大サンプリング時間 | 16分 (1サンプルあたり約176MB) |
スキップ・バック・サンプリング | パフォーマンスの最後から遡り25秒 |
データ・フォーマット | 16ビット・リニアWAV, AIFF, MP3 インポート対応 SP-404MK2APPは、WAV、AIFF、MP3、FLAC、M4Aに対応しています。 |
サンプリング周波数 | 48kHz |
パターン・シーケンサー | 分解能=480ティック/4分音符, パターン小節長=1~64小節, レコーディング方法=リアルタイム・ループ・レコーディング |
エフェクト | マルチ・エフェクト: 37種類, インプット・エフェクト: 37種類 |
パッド | 16個+サブ・パッド×1(ベロシティ・センシティブ・パッド) |
コントローラー | コントロールつまみ×3 |
ディスプレイ | グラフィックOLEDディスプレイ |
外部ストレージ | SDカード(別売)によるバックアップ、リストア、インポート、エクスポート機能(SDHC対応) |
接続端子 | PHONES 端子:ステレオ標準タイプ, LINE OUT端子(L/MONO, R):標準タイプ(TRS バランスタイプ), LINE IN端子(L/MONO, R): 標準タイプ, MIC/GUITAR IN端子: TRS標準タイプ(MIC) , 標準タイプ(GUITAR), MIDI (IN, OUT) 端子: (ステレオ・ミニタイプ), USB 端子:USB C type(オーディオ、MIDI), DC IN 端子 |
電源 | AC アダプター, USBバスパワー(USB Type-Cポート、1.5A以上), ニッケル水素電池単3形×6, アルカリ乾電池単3形×6 |
消費電流 | 1,100 mA (ACアダプター), 1,500 mA (USBバスパワー) |
連続使用時の電池の寿命 | アルカリ電池(単 3 形):約 2.5時間, ニッケル水素電池(単 3 形):約 4.5 時間 ※電池の仕様や使用状態によって異なります。 |
アクセサリー | クイックスタート, 「はじめにお読みください。」リーフレット, ローランド ユーザー登録カード, ACアダプター, 保証書 |
別売品 | TRS/MIDI接続ケーブル: BMIDI-5-35: BMIDI-5-35, BMIDI-1-35, BMIDI-2-35, BCC-1-3535, BCC-2-3535 |
外形寸法 | 177.5mm (幅) x 275.8mm (奥行き) x 70.5mm (高さ) mm |
重量(ACアダプターを除く) | 1.1 kg |