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イントロダクション
2021年現在。今や空前のLofiヒップホップブーム。そこで注目されていたサンプラーがあります。
一つは高嶺の花であるSP1200 (E-mu)、もう一つはコンパクトサンプラーSP404 (Roland)やSP505(Boss)。
しかし、SP404は2021年に突然の生産中止。(後にSP404 MK2が発売されます)
その裏で突如人気を博しているサンプラーがあります。
それはZoomの Sampletrack ST-224
ご存知の方もたくさんいらっしゃると思いますが、数年前から隠れ名機サンプラーとしてビートメーカーに注目されていました。
当時 (数年前まで) まではハードオフで4000円ぐらいで売っていたこのサンプラー。今では20000円でも購入が難しいです。どういった経緯でこの20年以上も前のサンプラーの再評価が始まっているのでしょうか?
そして、その魅力とは?実際にビートなども聞いてみて欧米Lofiビートメイキングの「今」をみてみましょう。
ST-224 vs SP404
コンパクトサイズのST-224。同じサイズぐらいであるSP404との比較をしてみます。
と言ったものの、SP404だけでビートメイキングされている方はどれぐらいいるのでしょう?
作ったビートをDJ的に流す、いわゆるビートライブとして使用している方。またはCompやVinyl Simなどを駆使してサンプルをLofiにするプラグイン的なエフェクターとして使用している方が多数派ではないのでしょうか?
SP404だけでビートメイキングをしていくのは難しい部分もあり、それを補完するかのように、覆い被さるかのようにして存在しているのがST-224です。
このMF DOOM好きそうな欧米人がSP404シリーズとST-224を比較し、フルレビューしてくれています。ちょっとみてみましょう!
指摘しているのは以下の2つ。
1) SP404のピッチシフトの脆弱性
2) SP404のパン振りが面倒。
より詳しい、SP404のデメリットについてはこちらの記事をご参照下さい!
スマートメディアを採用しているST-224…
これは完全なるデメリット。ST-224はスマートメディアという今や完全に世間から忘れられたMDのようなメディアを採用しています。
確証ではありませんが、確かST-224は最大16MBまでしか対応していなかったと思います。Amazonに8MBは売っていますが、本格的にビートを量産していくには16MBを複数枚入手する必要がありそうです。
この点、SDカード32GBまで対応しているSP404SXとは全く違いますね。サンプリングタイムについては後述するSP1200の方に近いです。
エイリアシング (aliasing) が発生するピッチシフト
折り返し雑音 (エイリアシングノイズ)
ピッチシフトが弱いSP404シリーズに対して、音楽的に対抗するのがST-224。それはどういったことでしょうか?
こちらでピッチダウンした時に生じる心地良いノイズはエイリアシング(aliasing)とも言われていいます。
折り返し雑音 ( おりかえしざつおん 、 英: folding noise)またはエイリアシング(英: aliasing)とは、統計学や信号処理やコンピュータグラフィックスなどの分野において、異なる連続信号が標本化によって区別できなくなることをいう。 エイリアス(aliases)は、この文脈では「偽信号」と訳される。信号が標本化され再生されたとき、元の信号とエイリアスとが重なって生じる歪みのことを折り返しひずみ(英: aliasing distortion)という。折り返しひずみのことをエイリアシングまたは折り返し雑音ということもある。
Wikipediaより
Wikiを読んでもあまりしっくりきませんが (苦笑)、古いサンプラーを通した時に発生する特有のノイズとも言いましょうか。また、音程を変更してもSP404 (など通常のサンプラー) のように音質が下がっていくのではなく、よりサンプル音がねっとりとクリーミーにとろけるイメージです。
それはサンプル音のダイナミックレンジが広がるように感じたり、ヴィンテージ感が生まれるような変化。この艶っぽい質感がとてもLofiヒップホップとの相性が良いです。
ST-224でサンプリングし、ピッチを大幅に落とすと心地の良いエイリアスノイズが発生します。ひび割れた独特なコード進行をどうぞ!
元祖エイリアシングノイズである、SP1200についての記事はこちら。Pete Rockの最高峰アルバムThe Main Ingregidentとともに紹介しています。ぜひご覧ください↓
最後にST-224のエフェクト一覧
ST-224のエフェクトについて。
シャリシャリ感が強調される「High-Pass」
籠り具合が気持ち良い「Low-Pass」
説明不要の「Pitch Shift」
激しく歪みを与える「Distortion」
和音に厚みを与える「Chorus」このかかり具合もかなり良い。
低域がブーストされる「Volume/Bass」これはMadlibが好みそう!
SP404で言うVinyl Simにあたるのが「Lo-Fi」プチプチ音も音楽的で気持ち良いです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?やはりSP1200が欲しい、、、。
いや、そうではなく、ST-224のピッチシフトによるエイリアシング質感もかなり良いよというお話でした。ハード機器のみでざらついたビートメイキングがしたい方。お金のない方。状態が良いST-224が中古で出たら速攻ゲットをオススメします!
アートの世界は再評価によって価格が大きく変動するのがとても面白いですね。